損得の分かれ道①薬剤師の働き方
薬剤師の雇用形態は、正社員、パート、派遣といった働き方があります。 それぞれメリット・デメリットがあり、特徴は異なるので自分にあった働き方を選ぶことが大切です。 安定した収入、管理薬剤師へキャリアアップを図りたい方は正社員、結婚後に自由な時間を確保したい方はパート・派遣が向いています。 プライベートの時間を多く取りたい方は、年収が下がったとしても、残業の少ない職場を選ぶと転職して良かったと思えるはずです。 自分のライフスタイルに合った働き方をすることで、転職後は仕事もプライベートも充実した生活を送れるようになるでしょう。
正社員薬剤師として働く損得は?
正社員の薬剤師として働く最大のメリットは、安定した収入が得られることです。 パートや派遣社員の場合は、勤務日数や契約期間によって収入が変動しますが、正社員は年収が決められているので人生設計も立てやすいのがメリット。 転職後に年収アップしたい方、安定した収入を得たい方は、正社員の働き方を選択すると良いでしょう。 正社員であれば、同じ地域で転職しても、職場を変えるだけで年収アップが可能になります。 正社員の薬剤師の年収は、勤務地やエリアによっても異なります。 特に人手不足が深刻化している地方や過疎地域では薬剤師の確保が難しく、高収入となっています。 一方で、東京都や大阪府などの都市部では薬剤師の数が多く求人数も多いので、人手を確保しやすく、年収は低めの設定です。 都市部で年収アップしたい方は、新規オープン店舗のドラッグストアや調剤併設ドラッグストアを狙うと良いでしょう。 正社員の薬剤師になるメリットは、やりがいや責任感のある仕事ができる点も挙げられます。 調剤薬局の場合、正社員として勤務すれば、早くて3年目くらいに管理薬剤師にキャリアアップできるチャンスもあります。 薬剤師は転職回数が多くても、キャリアアップが目的であれば、重要な役割を任せてもらえるようになるのがメリット。 ドラッグストアの正社員になれば、多くの店舗を任せてもらえるエリアマネージャーになるチャンスもあり、大幅な年収アップも狙えるのです。 その他、福利厚生が充実している点も正社員のメリットと言えます。 例えば求人によっては月5万円程度の住宅手当が付き、それだけで年間60万円負担が軽くなるのです。 正社員の薬剤師として働く場合は、年収だけでなく福利厚生、育休・産休もしっかり確認しましょう。 正社員の薬剤師の転職はデメリットもあり、時給換算すると時給が安かったり、サービス残業が常態化していることがあります。 病院や大手チェーン薬局の場合は、年収360万円くらいとかなり低めの職場もあり、時給約1,670円となるので要注意。 年収が低くサービス残業の多い職場の正社員になると損をしてしまうので、求人選びは注意が必要です。
パート薬剤師として働く損得は?
近年は、要領よく働くためにパートを選ぶ薬剤師が増えてきています。 正社員は残業が多く、プライベートの時間が取れない…と不満な方は、パート薬剤師が向いているかもしれません。 パート求人は応募条件がブランク可、時間・曜日の相談OKといった内容が多く、比較的すぐに仕事を始めらるのがメリット。 結婚・出産・子育て後にすぐに仕事復帰をすることができて、時間の自由がきくのが嬉しいポイントです。 パート薬剤師は、駅チカや大型スーパー併設の薬局、調剤併設ドラッグストアなど職場の多さも魅力です。 正社員の薬剤師は、定時まで必ず勤務しなければなりません。 しかし、パート薬剤師の場合は、子どもの送り迎え時間に合わせて出勤時間を変えたり、ライフスタイルに合わせて働くことができるので便利ですね。 子育て中のパート薬剤師の中には、週3日だけ、午前中のみといった自由な働き方をしている人も多いです。 そして、パート薬剤師の平均時給は2300円と高く、正社員と平均年収とさほど変わりません。 サービス残業もなく、異動・転勤がないこともパート薬剤師を選ぶメリットといえますね。 派遣薬剤師の場合は、契約期間が終わると他の店舗で働くことになるため、同じ場所でずっと働くことができるのはパート薬剤師のメリットです。 パート薬剤師のデメリットとしては、長年働いても職務経歴にはならないため、転職で正社員を目指すときは不利になる可能性があります。 パート薬剤師はボーナスや退職金がないのもデメリットといえるでしょう。 そして、パートでも年収130万円を超えると、扶養控除内から外れて住民税・所得税・社会保険料が給与から天引きされるので注意が必要です。
派遣薬剤師として働く損得は?
薬剤師の派遣は高時給で知られており、転職後は派遣の働き方を選ぶ人が増えてきました。 パート薬剤師として働く場合、時給相場は1,800円〜2,200円ですが、派遣薬剤師の場合は2,500円〜3,000円と700円程度高めです。 正社員の薬剤師の年収が500万円の場合、時給換算すると約2,500円ですが、時給3,000円の派遣薬剤師の場合、年収600万円になります。 派遣薬剤師の時給が良い理由は、人手不足の職場に割り当てられるためです。 派遣の場合は時給も良く、時間の融通も利きやすいので効率よく働くことができるのがメリット。 派遣薬剤師のデメリットとしては、派遣法により同じ職場には原則として1年間、最長3年間しか勤務できないので注意が必要です。 独身の薬剤師は勤務地の幅を広げることができますが、子育て中の方は派遣先を探すことが大変です。 その他にも、派遣は短期間で職場が変わるので、患者さんとの関係構築、スキルアップするのは難しいといえます。
損得の分かれ道②薬剤師の職場選び
薬剤師が活躍する職場は、病院、調剤薬局、ドラッグストア、一般企業が挙げられます。 薬剤師の仕事と一口に言って職場によって仕事内容が変わり、人によって向き・不向きがあります。 年収アップするために病院からドラッグストアへ転職したけど、商売気質が馴染めず失敗した…と感じる人もいます。 営業職に興味を持ち、調剤薬局から製薬会社へ転職した方は、医師からの処方せんをもとに薬を調剤する調剤業務を忘れてしまったと後悔する人も…。 転職先の職場ではどんな仕事内容なのか、事前に確認して自分に合っているかどうか適性チェックすることも大切です。 ここからは、薬剤師の職場別の仕事内容について詳しくみていきましょう。
病院で働く薬剤師の損得は?
病院で働く薬剤師の主な仕事内容は外来の患者さんと入院患者に対して調剤・服薬指導を行います。 入院患者に対しても調剤・服薬指導ができるのは病院の薬剤師だけが感じられるやりがいです。 医師や看護師と連携してチーム医療に貢献できることも病院に勤める薬剤師ならではの仕事といえます。 ただし、病院で働く薬剤師の平均年収は約300万円〜400万円、夜勤手当や昇給もあります。 薬局長、薬剤部長まで昇格すると手当が期待できるので約600万円以上までアップします。 病院で働く薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアに比べて専門性の高いため、給料よりも医療現場で働くことを重視する人に向いています。
調剤薬局で働く薬剤師の損得は?
調剤薬局は病院の近くに開局しているケースが多く、仕事内容は病院で発行された処方せんを元に薬を調剤することです。 患者さんに服薬について説明をする服薬指導、処方状況や患者さんから得た情報を管理する薬歴管理も行います。 調剤薬局の薬剤師は健康・生命に関わる仕事であり、現在服用している処方薬の重複投与や相互作用がないか確認することも大切な業務です。 病院によって扱う薬の種類が異なり、薬局の忙しさや残業時間は変わってくるので、仕事選びの際は事前にチェックしておきましょう。 大学病院の門前にある調剤薬局は多くの診療科の薬を扱い、午前中は忙しくなり、午後は時間通りに終わるため勤務時間は規則正しいのがメリット。 調剤薬局の薬剤師は平均年収450万円~600万円程度となっており、地方や人手が足りていない地域は年収が高い傾向にあります。 コツコツと仕事をする忍耐力と責任感のある方は調剤薬局へ転職すると良いでしょう。
ドラッグストアで働く薬剤師の損得は?
ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容は、一般用医薬品(OTC医薬品)、サプリメント、健康食品など医薬品以外の商品アドバイスも行います。 ドラッグストア勤務は、接客をする機会が多いのでコミニュケーション能力が高い人が向いています。 その他、レジ打ちや品出し、商品の発注などの業務もあるため、本来の調剤業務が少ない職場もあるので転職先の仕事内容をよくチェックしましょう。 最近は、調剤薬局と併設したドラッグストアが増えており、健康全般の豊富な知識が求められます。 ドラッグストアの平均年収は調剤薬局や病院と比べると比較的高く、初任給で年収400万円、店長や管理マネージャーへ昇格すると約700万円以上までアップします。
一般企業で働く薬剤師の損得は?
転職して高収入を狙いたい方、調剤業務から離れても良い方は、製薬会社も人気が高い職場です。 製薬会社には多くの職種があり、薬剤師からMR(医療情報担当者)、DI(医薬品情報管理業務)を目指す人が増えています。 MRの仕事内容は病院へ行き、医師や看護師に自社製品の安全性やプロモーションするお仕事です。 DIは治験や臨床試験データなどを収集、整理、管理して医師に適切な情報提供を行う仕事です。 新薬の安全性や有効性の確認、臨床試験などを行う開発職、治療のメカニズムや創薬、新薬の臨床開発などの研究業務を行う研究職は専門性が高く、博士課程卒業が必須条件です。 一般企業へ転職するメリットは、薬剤師の仕事の中で最も年収が高く、平均年収は500~800万円までアップすることです。 会社によって年収相場は変わり、外資系製薬会社では成果主義のため、MRは年収1,000万円以上稼ぐ人も多いです。 製薬会社は福利厚生も手厚く、土日休み、長期休暇も取りやすいのが嬉しいポイントです。 ただし、製薬会社の中途採用の求人は少なく、人気職のため倍率は高くなるのがデメリットといえます。
損得の分かれ道③転職サイト・転職エージェントの使い方
多くの薬剤師は、転職サイトや転職エージェントに登録して転職活動をされる方は多いでしょう。 しかし、自分に合わない転職サービスに登録することで転職を失敗してしまう人もいます。 ここからは、転職サービスの使い方による損得の分かれ道を解説していきましょう。
転職サービスはどれも同じではない!自分にあったものを登録すべき
最近は、薬剤師専門の転職サービスが増えており、求人探しが便利な時代になっています。 スマートフォンからでもスキマ時間を使って求人探しができたり、無料で転職相談できるのも嬉しいポイントです。 しかし、転職サービスはどれも同じサービス内容ではなく、業者によって職場や働き方に違いがあるので慎重に選ぶ必要があります。 例えば、調剤薬局やドラッグストアの薬剤師求人を探す方は「薬キャリ(エムスリー)」と「ファルマスタッフ」の求人数が豊富なのでおすすめ。
病院や一般企業・製薬会社の求人を探したい方は、「マイナビ薬剤師」と「薬キャリ(エムスリー)」が適しています。 希望する職場や働き方を予め決めてから転職サービスを使い分けると効率的です。 同じ施設の求人であっても転職サービスによって募集要項の内容が変わるので、複数の転職サービスに登録すると得な条件で応募することができます。
電話やメールは早めに対応する
転職サービスに登録すると、自分専用の専任キャリアアドバイザーが付いて、求人紹介や転職相談に乗ってもらえます。 薬剤師転職を成功させるには受け身になるのではなく、自分から積極的に行動する姿勢が求められます。 人気の薬剤師求人は応募が殺到するので、早めに応募する迅速な対応が求められます。 専任キャリアアドバイザーには良い求人があったらすぐに応募すると伝えておき、優先的に非公開求人や優良求人を紹介してもらうことが大切です。 キャリアアドバイザーによっては自分の営業成績のためにミスマッチな求人を強引に進めることも…。 最終的にどの求人に応募してどこを選ぶかは自分であり、アドバイザーの言いなりにならないようにすることが大切です。
まとめ
今回は、薬剤師転職における損得の分かれ道について解説していきました。 薬剤師の職場選び、働き方、転職サービスの使い方に気をつけて、理想的な職場を見つけましょう。 ぜひ、今後の転職活動の参考にして頂いて成功へ導きましょう。