たしかに地方の求人を見ると思わずびっくりしてしまうような年収を提示しているものを頻繁に見かけます。
今回は関東から地方へ転職したことにより年収アップに成功した私の体験をお話していきます。
目次
就職をきっかけに関東へ
私はもともと熊本県に住んでいました。熊本で生まれ、熊本で育ち、熊本の大学に通って薬剤師になったのです。しかしそのまま熊本に就職するということはまったく考えておらず、できれば関東に出て働きたいと考えていました。 実家を出たかったということと、就職先に家賃補助があったため、関東でも月に家賃1万円で住むことができるという理由からです。熊本の田舎出身の自分からしたら、関東に家賃1万円で住めるのは大きな魅力でした。病院や調剤薬局だとなかなか家賃補助を貰えるところはないですよね。
私が就職したのは、全国に店舗を展開する大手のドラッグストア。ドラッグストアは薬剤師に人気の就職先とは残念ながら言えません。ほとんどの同級生が病院や調剤薬局に就職を決める中、ドラッグストアに就職を決めたのは学年で2~3人程度です。 「ドラッグストアに行く薬剤師はちょっと変わっている」ということを言われるくらい、人気のない職場でした。 そんなドラッグストアに就職を決めた理由は、ずばり年収が高いからです。 大学の授業料のほとんどを奨学金で借りて通っていたため、病院や調剤薬局の年収では生活に余裕がなくなってしまいます。 そのため、いくつかあったドラッグストアの求人の中でもとくに高い年収が提示されていた、全国規模のドラッグストアに就職を決めました。 初任給で年収500万円近くあったので、かなり年収はよい方ではないでしょうか。 大学6年生のときは国家試験の勉強でひたすらバタバタしていて、このままきちんと関東に引っ越して働き始められるのだろうか?と不安でしたが、会社が借り上げ社宅を用意してくれていたので、こちらは引っ越しの準備だけ進めておけばOKでとても助かりました。
関東で生活を始めるも、地方とのギャップがありすぎて驚く
関東で生まれ育った方からしたら当たり前のことなのかもしれませんが、熊本から関東に引っ越してから半年もするころには「自分には都会生活は向いていない」と思い始めるようになりました。まず私は人混みが好きではなないということに気が付いたのです。配属された店舗は東京のど真ん中の超繁忙店で、とにかく常に人でごった返しているような店舗です。店内は狭いし、通路も狭いし、5階建ての店舗なので階段の上り下りも激しいという、地方のドラッグストアとは似ても似つかぬ現場がそこには繰り広げられていました。私が今まで見てきたドラッグストアはどこも広々とした店内で、商品はきれいに陳列され、落ち着いた雰囲気のところばかり。しかし配属された店舗がそれとは丸っきり真逆の店舗。同じドラッグストアでも地域によってここまで店内の状況が違うのかとひたすら驚きました。
毎日毎日走り回って、人混みにまみれながら働いていたのですが、ふとある日こんなことを思ったんですね。「これって本当に私が望んでいた働き方なのだろうか?私はもっと広々とした店内で落ち着いて仕事をしたかったんじゃないのだろうか?」と。仕事をしに店舗に向かうのに、満員電車で通勤するのもとても苦痛で、とにかく早く辞めたいと就職して半年もするころには思っていました。
また関東のとくに繁忙店と呼ばれる店舗は、とにかく活気が大切というノリがあるのも地方出身の私には驚きの事実でした。私の中でドラッグストアは、静かな店内でゆっくりと商品を買うところというイメージだったのですが、都内のドラッグストアは活気命!という傾向が強く、常に声出しをしていないといけません。ドラッグストアで大声を出すなんて、と思っていたものの、声出しをしないと叱られるので仕方なく声出しもやっていました。このような人混みが当たり前、騒がしくて当たり前、活気が無いとダメといった都内のドラッグストアの状況がどうしても受け入れられない私は「就職先を間違ったな」と感じていました。
本当に年収500万円の価値があるのか?今の年収に疑問を持ち始める
新卒でドラッグストアを選んだときは「他の職場よりも年収が高い」という理由で選びました。新卒で年収500万円近くもある求人はそうそうありません。しいていえばウエルシアが当時は600万円で募集していたくらいです。しかしウエルシアの場合は10時間拘束の9時間労働で残業代も込みという裏事情があってこの年収になっているので、また別の話だと私は思っています。
新卒で入ったドラッグストアですが私が働いていた店舗は、忙しい上にサービス残業が横行しているような店舗でした。毎日2~3時間のサービス残業は当たり前。長いときは5~6時間くらい残って仕事を片付ける日もありました。あまりに長く残って仕事をしていると、店長から「早く帰りなよ」と言われるのですが、結局仕事をする時間を店長がくれるわけでもないのでムシして残って作業していました。毎月少なくとも40時間はタダ働きをしていたことになるのですが、しばらくこのような生活をしていて気が付いたことがあります。「結局ここまでサービス残業しているのなら、最初から残業代が込みになっているウエルシアで働いていたほうが何倍もマシなのではないだろうか。」、「毎日のように何時間も残業しているのに1円もプラスされないのなら、結果として今貰っている年収500万円という数字はむしろ低いのではないだろうか。」と思うようになりました。
サービス残業があまりに多く、ふと自分の時給を計算してみようと思ったことがあります。実際に働いてる時間とも貰っている給料とで計算した結果、店舗で雇われているパートの薬剤師よりも明らかに低い時給になってしまいました。年収500万円という数字だけを見るとあたかも高いかのように思えますが、蓋を開けてみればパートの薬剤師以下の時給で会社にこき使われていただけだったのです。これなら最初から残業代込みのウエルシアで働いていたほうが何倍もいいですよね。今と同じくらいの時間働いて年収が100万円も上がるわけですから。もしくは年収が今よりも多少低くても、残業がほぼゼロの職場に行ったほうが時給換算では大幅にアップします。目先の年収だけを見て年収が高いとか低いとかを一概に言うことはできないのだと考え始めるようになりました。
年収に納得できる転職先を探し始める
私は調剤という薬剤師にとって基本とも言える業務があまり好きではありません。本当のことを言うと、年収が高いからという理由以外に、調剤をしたくないという理由もあってドラッグストアを選びました。だから転職するにしてもドラッグストアかなと考えていた時期もりました。しかしドラッグストアはどこも蓋を開ければサービス残業が当たり前のように蔓延していて、とてもじゃないけど働く環境が整っているとはいえない企業ばかり。いろいろなドラッグストアの口コミや実際に働いている方の話を聞きましたが、どこも正直ブラック企業そのもの。ドラッグストアに転職してもまた同じことを繰り返すことになると判断した私は、調剤薬局への転職を決めます。調剤薬局なら、ドラッグストアのようにバタバタと走り回ることもありませんし、しっかりと転職先をリサーチして選べば残業が少ないところに転職できるだろうと考えたのです。
なんやかんやと数年ドラッグストアにいたのですが、ついに本格的に転職をすることを決意しました。転職と同時に、生まれ故郷の熊本に帰ろうと考えていたため関東に住みながら熊本での転職先を探すことに。仕事を続けながらの転職活動は大変だと聞いてはいましたが、実際に始めてみると予想以上に大変でした。まずフルタイム+残業をしている状態で、求人を検索して探すヒマがありません。朝の6時に家を出ても、自宅に帰り着くのは夜の22時頃。そこからパソコンに向かって求人を探す元気はとてもじゃないですが、ありません。
限られた時間で転職先を見つけるため、転職サイトを使うことに
どうしようかなと悩んだ末、転職サイトに登録してみることにしました。私の友人の中に、すでに転職を経験した方がいるのですが、その方も転職サイトを使っていたと聞いたので私も登録してみたというわけです。いくつか転職サイトがあるようでしたが、友人と同じサイトに登録しました。友人に勧められたというのもありますが、サイトに登録しないと見られない求人が多くあったのも登録した理由の1つです。転職は人生を変えるイベントと言っても過言ではないため、できるだけ多くの求人を比較するために転職サイトへ登録しました。登録が終わると、数分後にスマホに着信が。あまりにもすぐにかかってきて、少し怖いなと思ったため何回かかかってきたものの、電話には出ませんでした。それでもしつこくかかってくるので、しびれを切らして電話に出たのですが今まで電話に出なかったことを申し訳なく思うくらいに担当の方が丁寧に対応してくれたのを覚えています。
転職サイトに登録すると担当エージェントが、薬剤師の希望を聞くために電話をかけてくるようになっています。どこの転職サイトに登録しても、電話はかかってくるようです。こちらが電話に出るまでかけてくるので、ちょっとしつこいと思ってしまいますが一度電話に出てしまえばそれ以降はメールでのやりとりでも大丈夫なため、さっさと出てしまったほうが良さそうです。私の場合、電話に出ると担当エージェントからの挨拶があったあとに事細かく転職先に希望する条件を聞かれました。聞かれた内容は主に以下の通りです。
・勤務地
・年収
・通勤時間
・通勤手段
・職種
・いつから働き始めたいか
・今の職場で気になること
・次の職場に求めていること
ざっとこのような感じです。時間にして15分くらいでしょうか。関東に住んでいるので熊本での転職活動は難しいかなと心配していましたが、とくに問題ないようでした。希望年収はあまり欲張らずに500万円前後と答えましたね。ドラッグストアから調剤薬局への転職なので、そこまで大幅に年収が上がることは期待していません。ただし時給換算してパート薬剤師以下になるというような状況は避けたかったので、残業がない職場というのは絶対条件として担当エージェントに伝えました。もろもろの希望を伝え、電話は終了です。
15分間の電話って、電話をしている最中はとても長く感じますが、結果としてここで電話に時間を割くことで求人を探す時間を大幅に節約できたと思います。なぜなら電話を一度してしまえば担当エージェントの方で私に合うような求人を探してくれたからです。つまり自分でサイトを開いて求人を探さなくても、待っているだけで求人情報が届くということ。仕事をしながら転職活動をする自分にとって、これはとてもありがたかったですね。しかし、あまりよい求人が送られてこない時期が続くこともありました。そのときは思い切って担当エージェントに「もう少し年収が高いものがいい」とか「もう少し家から近いものがいい」など希望を正直に伝えました。結果として気に入った求人が3つほど見つかったので、年には年を重ねて3社とも受けることにしました。
もちろん、面接を受けるのは仕事が休みの日です。しかも関東から熊本まで足を運んで面接を受ける必要があります。しかし担当エージェントがうまいこと面接の日程を組んでくれたので、2日間でまとめて3社とも受けることができました。驚くことに3社とも内定を頂くことになったので、ここから1社にしぼります。それが今働いている調剤薬局です。求人に提示されていた年収は500万円でしたが、エージェントの交渉により年収550万円にまで上がりました。一般に調剤薬局よりもドラッグストアの方が年収は高いのですが、関東から地方へ転職したこと、そしてエージェントが交渉してくれたことにより50万円以上も年収を上げることに成功したのです。しかも転職先で働きはじめて3ヶ月後には管理薬剤師に昇給しさらに年収アップ。今は600万円前後のお給料を頂いています。転職によって年収が100万円近くも上がったというわけです。もちろん残業はほぼありません。定時に出勤して定時に帰れることがここまで幸せだとは思いませんでした。車通勤なので満員電車でストレスを溜めることもありません。今までサービス残業をしまくって年収500万円だったのが、残業ほぼなしで年収600万円まで上がったので、転職は成功したと思っています。