病院勤務から残業なし給与UPの調剤薬局へ

転職をしようと思った経緯

 薬剤師免許を取得して3年になります。出身は東北で、大学進学を機に上京しました。実家では父親が薬局を経営しており、将来は地元に帰って働くことになるでしょう。その前に経験を積みたいと思い、卒業後も東京に残ることにしました。

 現在働いている病院は、薬剤師になって初めての就職先です。調剤業務に病棟薬剤業務、在庫管理などを行っており、忙しい毎日を過ごしています。業務時間外にも勉強会の資料作成や環境整備など、仕事は尽きません。息抜きに先輩や同期と飲みに行ったり、また他部署のスタッフとも話すようになり、それなりに楽しい日々でした。

 はじめは仕事を覚えることで精一杯でしたが、慣れてくると「なぜこれをやる必要があるんだろう」という業務が目につくようになります。勤務している医師の処方の癖を覚えたり、院内で決められてる調剤時のルールといったことについてです。また、薬剤師免許がなくてもできるような業務を行わなければならないのも苦痛でした。例えば、ゴミ捨てや掃除です。勤務している病院はゴミ集積所が外にあり、夕方になると薬剤部で出たゴミを集めて自分たちで持って行かなければなりません。病院では、普通に調剤業務をしているだけでも輸液の入っていたダンボールや薬の空き箱、シュレッダーにかけた書類など、想像以上に多くのゴミが出るんです。これらを小さく潰してまとめて、台車に乗せます。1階にあるゴミ捨て場までエレベーターで降ろしてから運ぶのですが、建物が古いため職員専用のエレベーターがありません。2台あるエレベーターは、患者さんやその家族が利用します。乗っている人が多いと、薬剤部のある階で停まっても大量のゴミと一緒では、なかなか乗ることができません。ゴミを捨てた帰りも同じことです。これにより、ゴミ捨てという作業だけで30分以上かかることもありました。調剤業務が忙しくなる時間帯だというのに、なかなか仕事に戻れないのです。また、調剤室は薬品があるなどの理由から、関係者以外がむやみに立ち入ることはできません。清掃業者の人たちも例外ではなく、清掃作業が入るのは薬剤部前の廊下までです。調剤室や休憩室は、自分たちで毎日掃除を行います。それだけならまだいいのですが、大掃除の時期ともなるとカーテンの洗濯や窓拭き、倉庫の片付けも行わなければならないのです。ただ単に掃除がやりたくないというのではなく、通常業務に加えてこういった仕事に時間を取られることで、本来の薬剤師としての仕事に集中できないことがストレスになっていました。

 人間関係にも悩みがありました。病院の薬剤部といえば一人は厳しい人がいるものですが、基本的に先輩たちは優しく、仕事も丁寧に教えてくれたので安心していました。特に新人の頃って、何かと気を遣ってもらえますよね。しかし、それを面白く思わない人がいたのです。仕事はできるし、話していて頭がいい人だなというのも分かりましたが、自分が一番かまわれていたいタイプの人のようでした。仕事に関して指導してくれるのはいいのですが、こちらが自分の言った通りにならないと気が済まないようで、「そこは重要なのかな」と疑問に思うところを「なんで説明した通りにやらないの」と言われたり、気に入らない人に対して威圧的な態度を取るところも苦手でした。「あまり関わらないようにしよう」と思いながらそれなりにうまくやってきたつもりでしたが、ある日、他部署の男性スタッフからの食事のお誘いを断ったことを問い詰められたのです。適当に濁して事なきを得ましたが、仕事とは関係ない上に「あの人傷ついてるんじゃないの」とか「この前あの人が休んでたのって、あなたのせいなんじゃないの」などと言われ、「この人には全く関係ないことなのに」と思いイライラがおさまりませんでした。

 人間関係の悩みにも繋がりますが、噂話がすぐに広がる環境も嫌でした。中小病院ではスタッフ同士が顔見知りで長年勤めている人もいます。良くも悪くも他人に興味のある人が多く、目新しい話題は公私問わずどこからともなく広まります。特に職場内恋愛などは、すぐ噂になり公然の秘密となります。忘年会など大勢のスタッフが集まる飲み会では、役職がついた人の過去の話を聞くこともあります。仕事の実績や人柄が素晴らしいといった「良い話」だけではなく、いわゆる武勇伝や昔の恋愛事情など、正直どうでもいいと思うような話も出てきます。話題となっている本人は何とも思っていないのか、それとも話題になっていることすら知らないのかも分かりませんが、そういった話をすることで「情報通」としてドヤ顔をしている人がいることにうんざりしました。もし自分が話題の対象になったらと思うと怖くて、たとえ同期でも、うかつに男性スタッフと飲みに行くなんてできません。職場の近くで遊ばないなど、噂好きのスタッフと出くわすことのないよう、プライベートでも神経を使うようになりました。

 東京で就職することに決めた理由は、薬剤師としての経験を積みたいからだけではありません。私は洋服が好きで、シーズンはじめにお気に入りのショップへ買い物に行くのが楽しみです。地元にいた頃はテレビや雑誌で見るだけだったものも、今ではすぐに手に入ります。自分のお給料で好きなものが買えるようになったのは、何よりも嬉しいことでした。

 就職してからは出会いがないのが悩みでしたが、友人の紹介で知り合った人と結婚を前提にお付き合いすることになりました。このとき私は都内、彼は横浜で一人暮らし。お互いに仕事もあったので、週末に行き来する生活が始まりました。週末といっても、私はシフト勤務で土日に仕事が入ることもあります。彼の休日はカレンダー通りでしたが、趣味のサークルやボランティア活動に参加しており、休みの日も一日中一緒にいるということはほとんどありませんでした。そんな中、彼が前から希望していた仕事に転職することになりました。彼の新しい就職先はベンチャー起業で、試用期間もあるとのことです。試用期間はお給料が低く、生活費だけで精一杯になることが予想されました。結婚資金を準備したいところですが、貯金もできなくなる可能性があります。私の今の職場は、病院にしては基本給が比較的高いもののボーナスは少なく、残業が多い割に残業代はあまり付けられませんでした。昇給は年1回ありますが微々たるもので、上がるのを待ってはいられません。これから彼と一緒に暮らすことになった場合、私のお給料があっても都内で生活を続けるには不安があります。私は東京で生活している間は、欲しいものを我慢したくありません。自分の好きなようにお金を使いたいけど、近い将来結婚もしたい。今後の生活や収入に不安を覚え、転職を考えることにしました。

色々考えて転職会社紹介サイトを利用したこと

 彼とは年末に婚約し、春に入籍する予定となりました。職場でのアナウンスも済んだところで、結婚を機に退職したい旨を上司に伝えました。薬剤部での寿退社は珍しくなかったので、退職にあたり特別もめることもありませんでした。仲の良かった先輩たちと離れるのは寂しいですが、苦手な人と離れられることには思った以上にほっとしていました。

 転職活動を始めたのは退職を決めてからです。退職すると決まればなるべく早く辞めたかったので、引っ越しや結婚式の準備があるなど理由をつけて、引き継ぎを終えたらすぐに有給消化に入れるよう上司に調整してもらいました。転職については、すでに転職している大学時代の友人に聞いたところ、転職先を探してくれる会社を利用するのが便利とのことでした。さっそくインターネットで検索しましたが、転職紹介の会社も沢山あり、どこを選べばいいのかわかりません。そこで、インターネット上で見つけた転職会社の紹介サイトの薬剤師キャリアを利用することにしました。個人情報などを登録すると、複数の転職会社から連絡がくるサービスです。登録を済ませて、連絡が来るのを待ちます。

薬剤師転職サービス無料登録

3社中1社を選び、転職活動を行った内容

 登録後2~3日すると、いくつかの転職会社から連絡がありました。転職を決めた理由や、転職するにあたって希望の条件を伝えます。どこの会社の方も丁寧に対応してくれましたが、話していて会話のテンポが合ったコンサルタントさんに依頼することにしました。電話で面談の日を決めて、直接相談を行います。

 面談では、これまでの仕事内容や不満だった点を伝え、希望する条件を挙げていきます。私の場合は今よりもお給料が高く、薬剤師としての仕事に集中できる環境を希望しました。入籍後は都内の別の場所に引っ越す予定だったので、引っ越し先からの通勤時間を考慮した場所で転職先を探してもらうことにしました。入籍予定であることを伝えると、既婚者や小さい子供のいる人が働いているかどうかや、産休・育休などが取りやすいかどうかも気にした方がいいなど、今後のキャリアプランについてもアドバイスがもらえました。また、将来的には実家を継ぐことになるだろうという話をしたところ、「そういう人もいますよ」と聞いて安心しました。せっかく転職先を紹介してもらっても、長くは働けないことを伝えたら嫌な顔をされるのではないかと不安に思っていたからです。条件に合うところとして、複数の調剤薬局を提案してくれました。ここまでにコンサルタントさんが見ていた転職先は、自分で探していたらどれだけ時間がかかったかと思うほど膨大な量でした。

 第一志望の転職先を決めたら、書類選考のための履歴書を作成します。履歴書を書くのは数年ぶりで、転職活動としては初めてです。履歴書を書いた後は、コンサルタントさんに不備がないかを確認してもらえるので、言葉使いに不安のある私にとってはありがたかったです。書類選考が通ると、面接に進みます。面接にはコンサルタントさんが付き添い、入職日の相談やお給料の交渉もしてくれます。入職してから「面接のときの話と待遇が違う」ということは避けたかったので、とても助かりました。

転職を行って結果どうなったか

 転職後の調剤薬局では、調剤業務や服薬指導を主に行っています。薬剤師の人数は多くありませんが、調剤補助のスタッフがいるので薬剤師としての仕事に専念できます。近くにあるクリニックからの処方箋がほとんどで、それほど混雑することもなく、ゆとりを持って仕事に取り組んでいます。
スタッフは既婚者が大半で、病院勤務経験のある人もいました。私のように人間関係で悩んで転職したという人もいて、スタッフ同士は適度な距離感で接することができています。入籍後、引っ越しをして夫婦二人での生活が始まりました。転職先は、引っ越し先の最寄駅の沿線にあり、駅近で通勤も便利です。家事などはこれまで一人暮らしでやっていたことと変わらないのですが、相手がいると食事にも気を使うようになりました。もともと料理は好きで、実家にいた頃や大学時代はよく料理をしていたのですが、就職してからは時間がなく出来合いのもので済ませたり、なかなか手の込んだ料理はできずにいたのです。転職後は定時で上がれることもあり、仕事帰りに食材の買い物をして、夕食は手作りしています。
朝は洗濯をしてから出勤する余裕もできました。夫は帰宅が遅くなることもあるので、私が家事をする時間を取れることは大きいです。これまでは時間外勤務が当たり前で意識していなかった、定時で帰れることの素晴らしさに気づきました。
休日はクリニックの休診日に合わせて、毎週日曜日と平日の決まった曜日です。病院の勤務はシフト制だったため、勤務希望は出せるものの、なかなかプライベートの予定が組みにくい状況でした。転職後は、結婚式の打ち合わせなどもあったので、仕事の休みが決まっているのは助かりました。
一番気にしていたお給料ですが、年収としては1.5倍近く増えました。昇給が少ないという話も聞きましたが、今の時点での手取りが増えることを希望していたので満足しています。
そして驚いたことに、あんなに洋服が好きでショッピングに行っていた私が、以前ほどファッションにお金を使わなくなりました。特別節約しているとか、我慢しているというわけではありません。プライベートでやることが増えたり、生活環境が変わったりといった影響もあるとは思いますが、当時は仕事のストレスを買い物で発散していた部分もあったのかもしれません。仕事とプライベート同時に環境が変わることには不安もありましたが、このタイミングで薬剤師キャリアを利用して転職して良かったと思っています。