薬剤師の職場は病院、調剤薬局、ドラッグストアが挙げられますが、年収アップを目指すならば製薬会社も選択肢に入れると良いでしょう。
製薬会社の仕事は、20代後半でも1,000万円を超える年収も珍しくありません。
しかし、製薬会社に転職したくても、どんな仕事があるのか分からない方も多いのでは?
そこで今回は、製薬会社の仕事の種類と薬剤師から転職成功するコツと注意点を解説していきます。
薬剤師から製薬会社への転職が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
薬剤師資格が活かせる製薬会社の5つ仕事
製薬会社の職種は大きく分けて5つの仕事がありますが、どれも薬剤師免許の資格が必要ではありません。 調剤をする仕事ではないので、特別な国家資格は必要とせず、未経験からでもチャレンジしやすいのがメリット。 薬剤師としては薬剤師免許を活かせないと感じますが、実際は医薬品について深い知識が必要なため、薬剤師としての経験は大いに役立ちます。 ここからは、薬剤師資格が活かせる代表的な5つの仕事内容、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
①MR(医薬情報担当者)
MR(Medical Representative)は「医薬情報担当者」を意味しています。 MRは製薬会社の広告塔として、自社の医療用医薬品を広めるための販促活動をする仕事です。 自社の医療用医薬品について会社の研修を受けながら知識を深めて、医療機関へ向かい、医師に自社製品を説明しながら積極的に売り込みをします。 MRは製薬会社の営業担当として、自社製品を広めるために医師にプレゼンテーションや提案を行います。 営業力はもちろんのこと、日々生まれ変わる医薬品の最新情報にも精通する必要があります。 薬剤師の仕事とは異なり調剤する業務はなく、自社開発の医薬品や新薬を広めるための営業がメインです。 医療現場に出向いて、医師や看護師から医薬品の良さや副作用についての意見を聞くことも大切な仕事です。 例えば、思わぬ副作用があったり、効果が良いので後発の医薬品を期待していると言われることもあります。 どんなフィードバックでも会社へ報告をして、研究開発部門へ伝えることが大切です。 MRは自社の医薬品を売り込む営業職としてだけでなく、将来の新薬開発に貢献するための架け橋の役割も果たしています。 外資系の製薬会社は成果主義をとっており、営業力のあるMRは高収入を狙えるのがメリットです。 20代後半でも年収平均1,000万円を超える人も多く、薬剤師よりも年収は高めとなっています。 製薬会社は業界全体の業績が良く、国内・外資共に高収入となるのがメリットです。 薬剤師は土日祝は出勤となるケースが多いですが、製薬会社は比較的休みが取りやすく、営業手当や住宅手当など福利厚生が充実しているのも嬉しいポイント。 ただし、MRは出張や残業が多く、未だに医師への接待があるなどデメリットもあります。 その他、医薬品を学ぶ上で英語で論文を読む力や日々勉強し続ける努力も必要です。 MRとしてキャリアを積むと、医師や病院とのコネクションを築くことができて、将来薬局を開業する時も役立つでしょう。
②CRA(臨床開発モニター担当者)
CRA(Clinical Research Associate)は「臨床開発モニター担当者」を意味します。 治験を実施している医療機関に出向いて、法律やルールを守りながら適切に実施されていることを確認するモニタリングの仕事です。 その後、医師が作成するCRF(症例報告書)を回収することも大切な仕事です。 CRAは新薬開発のために、依頼者である製薬企業と医療機関の従事者との間に入る大切な役割を担っています。 最近は、新薬開発に携わるだけでなく、医療機器の開発におけるニーズも高まっています。 CRAは新薬開発に向けて多くの患者さんを助けたり、喜ばれるやりがいのある仕事と言えます。 様々な現場で多くの医療従事者と話すことができるので活躍の場を広げて、社会貢献できるのがメリットです。 自分の努力次第で会社に貢献すれば、年収1,000万円も見込めるのが嬉しいポイント。 特に外資系製薬会社の場合は、成果主義のため成績次第で年収が比例してアップします。 新薬開発に携わりたい人は、自分が担当した新薬や医療機器が承認された時には大きなやりがいを感じられるでしょう。 CRAは残業や出張、休日出勤が多く、製薬会社と多くの医療機関を行ったり来たりするストレスを感じるデメリットもあります。
③CRC(治験コーディネーター)
CRC(治験コーディネーター)の仕事は病院内で患者さんに治験内容の説明をして、不安や心的負担を軽減するための相談相手となる仕事です。 病院と被験者、そして製薬会社の間に入るコーディネイト役となります。 治験コーディネーターになるために特別な資格は必要ありません。 医療系の知識や医療機関の仕組みを理解している薬剤師や看護師、臨床検査技師といった医療系資格を持つ人は向いていると言えます。 薬剤師は新薬への理解も早く治験の意図も把握しやすいため、医療従事者としてのやりがいを感じることができるでしょう。 CRCはは残業は平均月20時間程度と少なく、休日出勤や出張はほとんどないのがメリットです。 土日休みがしっかり取りやすく、育児短時間勤務制を導入している会社も多いので、子育て中の女性にも最適です。 自分がコーディネートした治験が無事に終わると医師やスタッフ、担当モニターと連帯感を感じられるのも嬉しいポイント。 医療従事者や製薬会社のモニターなど多くの人と接することができて、疾患や新薬の知識が得られるのもメリットです。 CRCの平均年収は約500万円となっており、MR、CRAと比較すると安い設定です。 しかし、求人数が多く、英語力や経験が求められないため難易度が低くデメリットが少ない仕事と言えます。
④DI(医薬品情報管理者)
DI(Drag Information)とは医薬品情報管理者を意味します。 医薬品情報における管理・収集・提供などを担う薬剤師を活かせる仕事です。 病院では数多くの医薬品を取り扱っており、医者や薬剤師がすべての医薬品を把握するのは困難です。 そこで、医薬品管理専門のDI業務担当者が医薬品の情報を管理・収集・提供・問い合わせ対応を担います。 幅広い医薬品に関する情報を収集・分類・管理して、医師や薬剤師、一般の方々などに向けて医薬品情報を提供しています。 仕事内容は、情報提供のための資料作成、電話やメールの問い合わせ対応、医薬品関連の文献や情報の検索など多岐に渡ります。 薬剤師としてDI業務に就くことは、医療現場の最先端にいるプロフェッショナルな存在となります。 患者さん一人ひとりから医療業界全体に役立つ役割を果たしているので、やりがいが感じられるでしょう。 製薬会社のDI室に勤務する場合は、土日祝日は休みとなり残業はほとんどないのがメリットです。 DI室勤務の薬剤師の平均年収は400~600万円となっています。 薬剤添付資料や論文・データを読む機会が多いので、医療用語の英語力も求められます。
⑤学術職
製薬会社の学術職は、自社製品の情報管理やMR(営業)のサポートが主な仕事内容です。 日々進化する医薬品情報を正確に理解して迅速に収集し、関連文献や報告書を参照にしながらデータを分類・管理します。 自社製品、他社の医薬品に関わる様々な資料を収集、管理して、MRへ情報を提供したりアドバイスを行います。 社内で自社MRへ対して勉強会の講師をしたり、MRに同行して病院や薬局で製品の説明会を行うこともあります。 自社の医薬品を販売促進するために、医療関係者向けの資料など作成も行います。 学術のキャリアは更にに知識を深めて、部署内で昇進するケースが多いです。 製薬会社の学術になるメリットは、残業が少なく、長期休暇が取りやすく、福利厚生が充実していることが挙げられます。 医薬品の知識を深めることができますが、自社製品とに偏りが出るのはデメリットと言えるでしょう。 人数が少ないため一人にかかる責任は大きく、MRからの様々な質問に正確に答える必要があります。 最新の医療情報を常に学ぶ必要があり、英語の文献を読むための医療専門用語を勉強する必要があります。
製薬会社で働く薬剤師の平均年収は?
製薬会社で働く薬剤師の平均年収は職種によって異なりますが、比較的平均年収は高めです。 製薬会社で働く薬剤師の平均年収は400円~800万円以上となっています。 病院・調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は400~650万円なので、製薬会社へ転職すると多くの人が年収アップするでしょう。 特に外資系の製薬会社は成果主義のため、実力次第で平均年収が上がり、年収1,000万円を超える人も多くいます。 営業職のMRは、自身の売上や能力が給与に直結するので夢がある仕事です。 製薬会社の配属される部署や職種によって差がありますが、製薬会社は業界全体で高収入とみて問題ありません。 病院・調剤薬局で働く薬剤師が年収アップのために製薬会社へ転職するのは、正解と言えます。
薬剤師から製薬会社へ転職するメリットは?
製薬会社の平均年収は高収入だと分かりましたが、その他にはどんなメリットがあるのでしょうか? 製薬会社は年収だけでなく、待遇面にも恵まれているのがメリットと言えます。 製薬薬会社は土日祝日・週休2日制が多く、休日を十分に取ることができます。 福利厚生が充実しており、産休や育休といった制度もあるので長期休暇も取りやすいのがメリットです。
薬剤師からMRへ転職する際の注意点
薬剤師からMRへ転職する際にはどんなことに注意すれば良いでしょうか? 注意点としては、MR職とDI職は高収入のため人気が高く、他業界からの営業職がライバルとなります。 国家資格が必要ないため競争倍率が高く、転職先が見つかるまで時間がかかり、転職活動が長くなる可能性があります。 研究職や開発職の場合は、特定大学院の修士課程修了以上など応募条件が厳しいことが多いです。 製薬会社は移動が少ないため転勤が多くなるのも注意が必要です。 製薬会社は採用活動のために自社ホームページや求人サイトへの掲載することもありますが、ほとんどの場合は転職エージェントに独占案件を任せています。 MRやCRAの求人募集は人気があるため、一般公開して募集すると応募が殺到して、最適な人材を見つけるのに時間がかかってしまいます。 転職サポートのプロである転職エージェントに登録すると求める人材だけを紹介してもらえるメリットがあります。 特に、大手製薬会社や外資系製薬会社の募集要項はほとんどが非公開となっています。 幅広い求人数から仕事を探すためにも、転職エージェントに複数登録して、製薬会社の非公開求人を紹介してもらうと良いでしょう。
薬剤師から製薬会社への転職に向いている人は?
製薬会社の薬剤師は、研究や開発、MRやDI、学術など様々な部署・分野で活躍しています。 薬剤師から製薬会社へ転職する場合は、自分の強みや適性を理解して上で、どのような仕事をしたいのか明確にする必要があります。 製薬会社に何が貢献てきるのか、明確な目標がある人は採用されやすいと言えます。 これまで薬剤師として経験があることを自己アピールできる人、自認できる人が製薬会社勤務に向いています。 人気のMRは、医薬品に関する知識よりも信頼される人柄やコミニュケーション能力が重要視されます。 知識や実務経験は入社後に学ぶことができますが、適性や誠実さ、アピール力があるかは面接時に判断されるので対策をしておきましょう。
まとめ
薬剤師の職場といえば、病院・調剤薬局・ドラッグストアが多く、転職サイトでも求人数が多く見られます。 年収アップやさらに医薬品の世界に踏み込んで活躍の場を広げるならば、製薬会社への転職も検討する価値が十分にあります。 医療用医薬品という新たな分野の医薬品に詳しくなれるだけでなく、医療業界への貢献度が高いのもやりがいがあるポイントです。 製薬会社への中途採用は狭き門ですが、薬剤師ならではの強みを生かせれば、未経験からも活躍するチャンスは充分にあります。 ぜひ、今後の薬剤師転職を成功に導きましょう。