転職をしようと思った経緯
私は両親が薬局を経営していたこともあり、あまり何も考えることなく、当然のように薬学部に進学し、薬剤師になっていました。 元々コツコツと勉強することは好きだったため、薬学の勉強自体は好きでした。卒業後、実家の薬局を継ぐ前にもっと経験を積むべきだと思い、また両親からの勧めもあって、地元で数十店舗を構える調剤薬局に就職することにしました。 就職活動のとき、大手調剤チェーン、中小チェーンと両方とも見ましたが、実家が個店薬局だったこともあり、地域密着型で働いておいたほうが、将来役に立ちそうだと思い、中小チェーンを選択しました。 入社後は3ヶ月ほどの研修およびOJTを実施し、実務をこなしながら研修を受けるという形で仕事をしていました。同期は10人未満と少なかったですが、その分非常に仲が良く、充実した日々を送っていました。 同期とはこまめに連絡を取り合い、同期のみで勉強会を実施しました。2年ほど経ったタイミングで数店舗を周りながら調剤業務をすることになり、少しずつ視野も広がっていた頃、会社の方針で好きな研修を受けてきて良いということになり、私は自分で色々な外部研修を受けるようになりました。 その中の一つである「薬学生を受け入れるための研修」を受けに行った際、病院薬剤師や研究職の薬剤師に出会い、今まで自分が知っていた薬剤師とは少し異なる薬剤師像を知りました。当然学生時代に実習や研究室で似たようなことをしてはいたのですが、実務を数年こなした状態で話をしてみると、自分が想像していた以上に様々な面で差ができていることに気づきました。 病院薬剤師の先生は私たちが普段扱うことのない注射剤の知識があり、医師とのやりとりについても調剤薬局とは全く異なっていました。また、研究職の薬剤師の先生は患者さんと直接触れ合うことはないものの、自身が興味を持ったことを追求できるという面が元々コツコツ型だった私にとっては非常に魅力的に映りました。 今まで自分はある意味レールに沿って「実家の薬局を継ぐ」という道を進むのが当たり前だと思っており、そのために調剤薬局で経験を積むという目的で働いていましたが、もしかするとそこにこだわる必要はないのではないかと思うようになりました。
色々考えて転職会社紹介サイトを利用したこと
いずれは継がなければならないかもしれないが、まだまだ両親は現役な上、直接継いで欲しいと言われたわけでもなかったのでもう少し自由にやりたいことをやってみようと思いました。そこで私は薬剤師として働いていく上でどのようなキャリアが存在するのかを真剣に考えてみようと思い、薬剤師キャリアという、薬剤師専門の転職サイトに登録することにしました。 働いていた調剤薬局には大きな不満はありませんでした。給与水準も業界内では平均か、それ以上でした。しかし一度しかない人生、悔いのないようにしたいと思いました。これまで一緒に切磋琢磨してきた同期やOJTを担当してくれた先輩薬剤師のことを思うと後ろ髪を引かれる思いもありましたが、とりあえず「やってみよう」と転職活動をスタートすることを決心しました。 また、異業種への転職であれば若ければ若いほど有利になる、ということを転職コンサルタントの方から伺い、それも転職活動をスタートする後押しとなりました。 やはり働きながらの転職活動は大変で、心が折れそうになりましたが、転職コンサルタントの方が根気よくこちらの希望を聴きながら提案してくださったおかげで、自身のやりたいことを見つけることができました。 やはり、「薬学生を受け入れるための研修」で知り合った研究職の薬剤師の方が印象的だったということもあり、研究職を意識し始めました。もちろん転職活動はやりたいことを見つけるだけでは終わりません。ましてや院卒ならまだしも学部卒の私にとっては研究職への道はかなり険しいものになります。 よくネットで調べましたが、「研究職の求人は滅多に出ず、出たとしても国立大学や難関薬学部出身者が有利となり、競争が激しい」といった内容がかかれていました。本当に自分が研究職として働けるのだろうか?と不安になりました。しかし、いくら不安に思っても合格には繋がりません。 「とりあえず行動しなければ仕方がない。もしダメだったとしてもそれはその時考えればいい」と、前向きに考える事にしました。そして自分がやりたくても相手に受け入れてもらえるかがわからないため、今の自分をどうPRすれば採用してもらえるかを考える必要がありました。 先にやりたいことを決めてからの転職活動だったので「絶対に受かりたい」という気持ちが強く、ナイーブになっていた時期もありました。大学時代にちゃんとした就職活動をしていなかったこともあり、履歴書を書くのも慣れておらず、職務経歴書なんてもってのほかでした。 ですが、やはり転職コンサルタントの方が助けてくださり、自分の強みすらわかっていなかった状態からきちんとした書類を準備するところまで進むことができました。そして面接対策についても、どういうことを聞かれやすいのかを教えて頂きました。 それに対する回答を事前に添削して頂きました。転職活動は、新卒の就職活動と違い、これまでの自分の経歴や仕事に活かせる経験を中心に聞かれることを教えていただきました。つまり新卒の就職活動では、自分はどんな人間なのか、特技や性格について質問される事が多いですが、転職では、その企業にとって自分は即戦力になることができるのか、にまつわる質問をされるのです。 これには頭を悩ませました。調剤薬局で日々働いている自分が、これまでと全く異なる仕事である研究職で活かせる経験などあるのだろうか、再び不安になりました。調剤薬局では、知識はもちろん、多数の患者さんと接するためコミュニケーション能力が求められます。数年間働く事で新卒の頃よりは自然に身に付いたと思います。 しかし、研究職はコミュニケーションよりも、自分がもし定年まで働いたとしても新薬が発見できないこともあり、忍耐力や探究心が求められます。こちらに関しても転職コンサルタントの方に助けてくださいました。自分一人ではどうしても考えが偏ってしまいますが、転職コンサルタントの方が別の角度で物事をみてくださるので、自分のことなのに自分では気づかなかった自分のことに気づいてくださり、アドバイスを受けました。 また、業界についての事前勉強に関してもアドバイスを頂き、限られた時間の中でしたが、可能な限りの準備をする事ができました。
3社中1社を選び、転職活動を行った内容
そして私が使った転職サイト、薬剤師キャリアでは希望雇用形態や希望就業時期、希望勤務地等、一度簡単な登録をすると、自動的に3社の転職支援サービス会社にまとめて登録することができました。 これは求人が滅多に出ない、研究職を目指す私にとって大きなメリットとなりました。1社の転職支援サービス会社に登録するより3倍の確率で希望にマッチする求人に出会える事になります。しかもこの3社は複数ある薬剤師専門転職支援サービス会社から企業や研究職に強い3社が自動的に選ばれるため、より円滑に転職活動を進めることができます。 また、転職活動の際は通常一人の転職コンサルタントの方がつく事になりますが、薬剤師キャリアでは3社の転職支援サービス会社にまとめて登録できるため3人の転職コンサルタントがつく事になります。 そのため三者三様のアドバイスを受けることができます。 こちらも私にとって大きなメリットとなりました。はじめての転職活動で何から始めたら良いか全くわからなかった私にとってプロが、しかも3人もプロがついてくださってとても安心して転職活動を進める事ができました。 最終的に3人の転職コンサルタントの方がそれぞれ1社ずつ製薬会社の研究職を紹介してくださったので、その中から一番興味が湧いた1社を受ける事にしました。 私が受けた先は書類選考、1次面接、2次面接、最終面接という選考過程がありました。 書類選考については事前に例を見ながら準備できたこともあり、無事通過。1次面接では、今までどんな仕事を行ってきたのか、なぜここを希望したのか、どういったことができると思っているのか等といったことを聞かれました。 比較的和やかな雰囲気であったため緊張もせず、自己分析を行い準備した内容で十分対応ができました。2次面接は役員との面接でした。自身がこの職場に向いていると思う理由、壁にぶつかった際にどういった乗り越え方をするか、研究はすぐに成果が出るものではないことから相当な忍耐力が必要になるが耐えられるか、またその根拠はといったことをやや圧迫面接で質問されました。 しかし、聞かれた内容は事前に過去の質問例として伺っていた内容ばかりだったため、落ち着いて答えることができました。また、私自身気づいていなかったのですが、圧迫面接をされることで逆に「やってやる」という気持ちが芽生えたのを覚えています。 そして一番重要なのは熱意だというアドバイスを受けていたので、その気持ちをうまく伝え、無事突破することができました。最終面接はある程度条件の調整に近い面接だったため特に問題なく突破することができました。 そして全ての面接において、この企業を紹介してくださった転職コンサルタントの方が同行してくれました。私は、研究職に進む事ができれば、給料は多少下がっていても仕方がないと思っていましたが、面接中、転職コンサルタントの方が給与面や勤務条件など様々なことを私の代わりに上手く、採用担当者の方と交渉してくれました。 その結果、企業から提示された給与面含む勤務条件は、勤めていた調剤薬局よりも大幅に向上していました。 給与面を含む提示条件が前職より大幅に向上したことで、自分はそれだけ期待されているということであり、それまでよりも「やってやろう」とやる気に満ちていました。 最終的には約半年という比較的長い時間をかけながらでしたが、無事自分の希望する先に転職をすることができました。もしこの転職活動を自分一人で進めていたら、どんな仕事が本当にやりたいのかもわからずスタートでつまずいていたと思います。どんな業界でもプロフェッショナルに任せることが成功への一番の近道だということを身を以て実感しました。
転職を行って結果どうなったか
今ではこの製薬企業で希望していた薬の研究&開発に携わっています。調剤薬局で働いていた頃にくらべて環境はガラリと変わりました。それまでは処方箋の受け取り→調剤→監査→服薬指導→薬歴記載の繰り返しで、まずは「決められた薬を患者さんに決められた通りに飲んでもらう」(コンプライアンス、アドヒアランス向上)事が第一でしたが、今は多くの患者さんに効くかもしれない新薬候補物質を探し当てるために様々な実験を行なっています。